アップル対サムスンの事件で有名になった言葉です。
Fair, Reasonable And Non-Discriminatoryの頭文字をとったものです。
それぞれ「公正」「合理的」「非差別的」を意味します。
ある技術について、特許出願をする一方で、当該技術を基に国際標準・規格を創設しようとすることがあります。
このとき、その国際標準・規格に適合しようとすれば、当該特許の実施が不可避となる場合があります。
そうすると、その国際標準・規格に適合しようとする他の事業者は、特許権者に対してロイヤルティを支払って、特許の実施許諾を受けることが必要となります。
このときに、国際標準・規格に適合しようとする事業者の足元を見て、特許権者が非常に高額なロイヤルティを設定するインセンティブが働くことが想定されます。
これを避けるため、実施許諾については、公正、合理的かつ非差別的な条件で行うこと、つまりFRAND条件で実施許諾を行うことを宣言させるということが行われています。
これがFRAND宣言というものです。
このFRAND宣言をしているのに、特許権者が不当な権利行使をしたり、高額な損害賠償請求をしたりしてきたときに、FRAND宣言をしていることをもって抗弁とすることがあります。
なお、FRAND宣言の根拠は、根拠は権利濫用の禁止(民法1条3項)とされています。
権利濫用の抗弁とはせず、敢えてFRAND宣言の抗弁としているのは、前者は主観的態様を含め総合考慮をすることを前提とするのに対し、FRAND宣言は特定の要素に着目して類型的に判断する点で異なるためと言われています。